感謝はしてるけど尊敬はできない。こういうことは十分ありえる。それをわかってない人が多い気がする。
昔あるバイト先の店長を尊敬できないと先輩に言ったら「お前なんかを雇ってくれたんだから感謝しろよ」と言われたことがある。いや、感謝はしている。おれはバイトの面接落ちまくるタイプだから雇ってくれたのは本当にありがたい。でも尊敬はできない。人間性が終わってるから。そういうことだってあるでしょと思った。
感謝すべき存在だから尊敬もするべき。=尊敬できないのは感謝が足りてない。っていう考えは頭が固すぎる。あほ。それだと人間関係が行き詰まる。この人には感謝してるけど人間として終わってんな〜って思っててもいい。
数年前、こんな見出しのニュースが話題になった。
「車上狙い 鍵開けるのはお手のもの 受刑者が車内から女児救出」
「誤って車内に閉じ込められた1歳の女の子を、近くで刑務所外での社会奉仕活動をしていた受刑者たちが車上狙いの手口を使って救出した。」というニュースだ。この子の親は一生この受刑者に感謝するだろうけど、犯罪者を尊敬できるかは別の話だ。これは極端な話だけどこのケースの縮小版が日常に溢れてる気がする。
感謝と尊敬を切り離して考えると人間関係が少し楽になると思う。
ここから余談になるけど、部活や職場の先輩・上司に対して「絶対に感謝しなきゃいけない風潮」にそもそも違和感がある。
言いたいことはわかるんだけど一新人に対しての教育は必要だからしてるだけだ。後輩の指導は先輩の仕事だからねって思う。おれにも後輩ができれば教える側になるわけだし、そのときに「教えてやったんだから感謝しろ」とは思わない。仕事だから。休みの日だったら教えてない。
一後輩としてじゃなくておれ個人のためを思って話してくれてるんだなって感じたときは感謝する。けど必要な業務を教わるのにいちいち感謝しない。後輩からも感謝される気はない。感謝ってそういうものじゃない。
後になって「あのとき面倒見てやったのに感謝してねーのか」とか言われたらその人とは距離を取る。感謝とか尊敬って言葉を出して人を縛ろうとしてくる奴の言うことなんて耳を貸さない。
そんなこと考えてると先輩から可愛がられないからおすすめはしない。
漫画家、イラストレーター。東京都在住。1988年生まれ。