金が余っている。夜勤のコールセンターの給料が良すぎる。友達に手取りを言ったら引いていた。「ハングリーさがないと成功できない。そんな金を手にしたらお前はもう終わりだ。実際全然インスタ更新してねーし」と言われた。むぅ。ぐぅの音も出ない。むぅ。
「令和ロマンのネタ書いてる方はハングリーさを失わないために給料は全部使って俳優のヤリ部屋みたいな家に住んでるらしい」とも言っていた。芸人さんの生き方を参考にしろと言われるとは思わなかった。
貯蓄をしないという意味では共感できる。おれはアリとキリギリスのキリギリスみたいな生き方に憧れてる。キリギリスはバイオリンを弾いて遊んでばかりいたから冬を越せなかったと書かれているが、アリからギャラとしてエサをもらえるくらいバイオリンが上手ければ何も問題なかったはずだ。キリギリスが冬を越せなかったのは働かなかったからじゃない。そこまでバイオリンが上手くなかったからだ。
重要なのは「バイオリンが上手くなれなければ冬を越せないことをキリギリスは分かっていたはず」ということだ。それを理解した上で働かずにバイオリンを弾き続けた。その結果、散った。アリとキリギリスの中ではそんなキリギリスが愚か者という風に描かれているがおれはそうは思わない。キリギリスはバイオリン一本で自分がどこまで行けるか知りたかったんだと思う。だから一生を懸けて行ける到達点の限界まで登った。命の使い方としてこれ以上の贅沢はない。「自分の到達点を知れる」という贅沢さに比べれば、その結果の良し悪しなど些末なものだ。「その結果冬を越せなかったら意味ないじゃん」ではない。「知れる」ことが褒美なのだ。金や名誉は副賞にすぎない。
おれもバイトできないくらい歳取った時点で趣味で稼げてなかったらキリギリスのように散る覚悟だ。(おれが60〜70歳くらいまでマンガを描き続けてそれが全く金にならないとは考えにくいが)
大分話が逸れたが、つまりおれは貯金にあまり関心がないと言いたかった。実際今のバイト始めるまでカード会社に20万円くらい借金してたし。
金が余ると投資したくなる。「貯金をしても将来物価が上がれば相対的に貯金額は減る」とよく耳にする。それはそうだ。検索してみたら1980年の大卒の初任給は11万円だったとのこと。当時はそれで1ヶ月暮らしていけたということだ。その11万円を大事に貯金して2024年に引き出したら、金額は同じでも1ヶ月生活するのは苦しいだろう。貯金とは金を減らす作業だ。
とは言え投資は怖い。「ニーサやって数ヶ月で数万円増えた」とか言う友人もいるがいつか暴落した時にザマミロと言ってやろうと思っている。世界的な株の暴落は約10年おきに起こると言われている。丁度よく見切りつけて勝ち逃げするなんて素人には無理だと思うんだけど、どうなんだろうか。
貯蓄に興味ないと言いながら元本割れは嫌すぎる。だから投資は怖い。
自己投資っていうのも難しい。自己投資のつもりでお金を使ってちゃんと利益が出た試しがない。めちゃくちゃ三日坊主だし。
そこで思いついたのが旅行投資だ。旅行は投資になる。旅行で体験したものをブログやらマンガやらのネタにし続けて認知されたら仕事になるかもしれない。YouTubeで旅番組の真似事だってできる。上手くいけばリターンが出る。
旅行投資の1番のメリットは元本割れしないという点だ。元本割れしない投資は基本的に詐欺だと思っていいらしいが旅行投資は本当に元本割れしない。仮に海外旅行で50万円使ったら50万円分の思い出は必ず手に入るから絶対にマイナスにはならないのだ!
利益が出るまでかなり長期的な計画になるだろうし旅ブロガーや旅系YouTuberからは舐めんなと思われるかもしれない。1円でも利益が出るまでに何百万円分も海外旅行する必要があるかもしれない。そもそも何百万円分も旅行したところで1円も儲からないかもしれない。ただ、元本割れはしない。思い出は自分の中で生き続ける。いつゴミになるかわからない株を長期保有するより精神衛生上かなりマシだと思われる。
今年中にどこか行こうと思う。投資ってわくわくする。
漫画家、イラストレーター。東京都在住。1988年生まれ。